『In the near future. 』     writer:夕澄 サマ

 


 それは遠いようで近い未来……




――In the near future.――









「……お前、熱でもあんのか?」
「は?何でさァ、いきなり」
「いや……珍しく最後まで回ってるから。いつもばっくれるだろ?」
「まァ、今日はお目当ての奴を見つけてないんで」
 市中見回り。いつもなら気がつくといなくなる沖田であったが、今日は珍しく最後まで土方と共に見回っていた。
 あまりに珍しい事なので、土方は不審に思った、という訳だ。
 さっきから沖田はきょろきょろと辺りを伺っている。
 しばらくしてその視線は一点に定まった。
 兎のように跳ね回る桃色を見つけて。









「……お前なんか企んでるのか?」
「は?何ヨ銀ちゃん、いきなり」
「いや……ジャンプの買いに行くのについて来るなんてさ。悪ィが何にも買ってやれねーぞ?」
「別に、そんな目的じゃないネ。ちょっと顔見なきゃいけない奴がいるアル」
 神楽はあっちこっち飛び回りながら、辺りをキョロキョロと見ている。
 曇りだったので傘は差さずに、手に持っていた。
 しばらくしてその動きは止まった。
 じっと見つめている視線に気付いて。









 十数メートルの距離を置いて、沖田と神楽は対峙していた。
 土方と銀時も、やっと互いの存在に気付いた。
「……今日は随分遅いお出ましで。何、昨日俺にやられそうになったんで、びびってんのかィ?」
「ふん、ちょっと女の子的な事情で遅れたアル!その憎ったらしいツラ、今日こそ滅茶苦茶にしてやるネ!!!」
 沖田はニヤリと黒く笑うと、腰の剣に手をかけた。
 神楽は傘を構える。
「おい、総悟」
「ちょっ、神楽」
 土方と銀時が、どんどん間合いを詰める二人を追いかけたが、時すでに遅し。
 二人のバトルは始まってしまった。









 街中で戦っているので当たり前だが、周囲の建物は見事に破壊されていた。
 一般人の迷惑や恐怖など全く気にせず、二人は暴れていた。
「何で二人が顔合わせるとこーなんの?全く、毎回毎回……」
「こっちはいい迷惑だ。始末書モンなんだぞ、これ」
 二人して深い溜息をつく。
「誰か探してるって言ってたのに……あっ」
「誰か探してるんじゃなかったのか……あっ」
 数秒の沈黙。
「ふぅん」
「そーいう訳か」
 二人とも納得した顔で、ニヤリと笑う。
「どこがいいのかね、あのサド王子の」
「どこがいいんだか、あのチャイナ娘の」
 屋根の上で戦っている二人を見つめる。
「ってことは、何あの二人実はできちゃってるの?」
「いや、それはないな」
「ふーん?でも時間の問題ってわけか」
「そういうことになる」
「えー……沖田君かぁ。なんか嫌」
「俺だってチャイナ娘が相手だなんて認めたくねーよ」
「何、仲悪そうに見えて実は心配とかしてるんだ?」
「一応仲間だからな」
「そりゃそうか」
「にしても、あの二人が付き合うとか想像出来ねーな」
「想像とか以前の問題で認ねーぞ、俺は」
「あっそう」
「うわ、冷たくね?」
「別に、俺の問題じゃねーし」
「…………」
「何その無言」
「……付き合いは認めてやってもいいけど。神楽はやらねーぞ」
「は?」
「男だらけの所になんか放り込めるか。沖田君が嫁いで来い」
「嫁ぐって話飛びすぎだろ……。何親父気取ってんだ」
「いや、一応父親代わりみたいなモンだし」
「嫁がせるなんて無理に決まってる。あいつは男だ」
「つっこみどころはそこじゃねーだろっ」
「あれでも隊長だからな」
「だよな。あー神楽が嫁ぐ事になるのか」
「それはそれで困る。あんな滅茶苦茶なガキ屯所に置けない」
「それよりも食費のほうが問題だと思うけど」
「…………」
「あー結婚式とかどーすんの?」
「さぁ」
「仲人とか誰がやんだろ……俺か?」
「勝手にやれ」
「挨拶とか何言えばいいの?」
「知るか」
「あー……本当にあの二人結婚すんの?何だか面倒くさくなってきた」
「すんじゃねーの?」
 再び戦う二人を見つめる。
 二人とも良い笑顔で戦っていた。
「あいつがあんなに楽しそうにしてるの、沖田君といる時だけだし」
「あいつが黒くなく笑ってんの、チャイナ娘と戦ってる時だけだな」
 戦いの激しさとは反対に、二人は穏やかに笑った。
「あいつが嫁いだらよろしく」
「ま、あいつの事認めてやれ」









 その日、戦っていた沖田と神楽はくしゃみが止まらなかったらしい。














+++後書きおよび反省。+++


 何がやりたかったのか、途中で見失いました……。
 沖田と神楽を語る銀さんと土方さん、というコンセプトだったはずなのですが。
 もう訳分かりません(汗
 本当に何がやりたかったんだか。
 総悟……じゃなくて相互してくださった有紀さんにささげます。


 ―――2007.5.22   夕澄





喜びの声:

「デクレッシェンド」の夕澄サマよりいただいちゃいました!!!
沖神なんですが、銀さん・土方さんの会話もナイス♪な作品で嬉しっス!!!

押し付け気味な贈り物に、ステキな作品が帰ってくるとわvv
夕澄サマのサイトでは 銀・妙 と 沖・神 &かっこいいオリキャラで出迎えてくれまするvv

ありがとうございます〜〜〜〜〜!!(^^)